秋の夜は、はるかの彼方に、
小石ばかりの、河原があって、
それに陽は、さらさらと
さらさらと射しているのでありました。
陽といっても、まるで硅石か何かのようで、
非常な個体の粉末のようで、
さればこそ、さらさらと
かすかな音を立ててもいるのでした。
さて小石の上に、今しも一つの蝶がとまり、
淡い、それでいてくっきりとした
影を落としているのでした。
やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、
今まで流れてもいなかった川床に、水は
さらさらと、さらさらと流れているのでありました……
朗読
注釈
※珪石(けいせき)
ケイ素を80%以上含む鉱石のこと
硬度が高く、熱の伝導率が高いという特徴がある
ガラスやセメント、レンガなどの原料
細かく砕いて用いることから、この詩で「非常な個体の粉末」のたとえになっているのであろう
