汚れつちまつた悲しみに 中原中也

汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる

汚れっちまった悲しみは
たとへば狐の革ごろも
汚れっちまった悲しみは
小雪のかかってちぢこまる

汚れっちまった悲しみは
なにのぞむなくねがうなく
汚れっちまった悲しみは
懈怠けたいのうちに死を夢む

汚れっちまった悲しみに
いたいたしくも怖気づき
汚れっちまった悲しみに
なすところもなく日は暮れる

朗読

注釈

(かわごろも)

毛皮で作った衣のこと

懈怠(けたい)

なまけること
善をなさず、悪をすすんで行うという意味もある